− 蘭陵王 −
日本の獅子舞のルーツをたずねて

 お正月の風景。日本の獅子舞はどこから来たのでしょう。このお面は、現在、伊勢神宮の売店で売られているお土産品で、 『蘭陵王(らんりょうおう)の面』といわれる舞楽面です。獅子舞のルーツとも言われています。
 蘭陵王は、中国古代の英雄で、軍略家として有名な軍人でしたが、その才能をねたまれ、紀元573年、毒殺されてしまいます。蘭陵王はその容姿があまりに優美でしたので、戦場で敵を驚かすために、わざと恐ろしげな面をかぶり、自ら作曲した『蘭陵王入陣曲』 を演奏しながら出陣したといわれています。敵はその曲を聴くだけで逃げ出しました。それがこの面だといわれています。 唐代、遣唐使によって、舞楽『蘭陵王入陣曲』は、わが国へ伝えられ、伝承されてきました。伊勢神宮、春日大社、熱田神宮などに 国指定・重要文化財として現在も保存、演奏されています。日本の獅子舞の源といわれています。
 中国・邯鄲(かんたん)市研究員・馬忠理先生は、長年の調査の結果、蘭陵王の墓が中国・河北省邯鄲地区磁県劉荘村の第44号墓であることをつきとめました。当院住職は主催する研究会で、先生の論文を翻訳し、わが国へ紹介しました。 論文はインターネット当院HPでご覧ください。 (このお面との不思議な縁)